昨年の9月頃、私は肛門周囲膿瘍の来襲に見舞われた。
肉体的にも精神的にも厳しい戦いであったが、私は何とか生き残ることができた。
※大げさに言っています(笑)
その時の事を記した記事はこちらです。
勝利したとまでは言えないものの、そんな血のにじむような戦いを生き抜いた私にはしばらくの安息の時間が訪れる。(実際出たのは血ではなく膿ですが…w)
硬いところに長時間座らない事や、お腹を壊さないよう日々の生活に注意を払いながら、日々平和で過ごせることの重要性をかみしめて生活を送っていた。
しかし、そんな平和な日々もそう長くは続かなかった。
約11か月の沈黙を破り、肛門周辺にピリピリとした違和感を覚えたのであった。
「そんなはずはない…気のせいだ…まさか再発するはずなど…」
肛門に感じる明らかなる違和感という現実から目をそらすために自分にそう言い聞かせた。
しかし前回の経験上、現実から目をそらすことでは何も解決しないことはわかっている。
そして私は決心した。
症状が悪くなる前に病院へ行くッッ!!
前回、肛門周囲膿瘍になった際、痛みの限界まで耐え抜いた状態での運転にかなりの苛立ちを覚えながら病院へ向かったが、今回は単なる違和感でしかない。特に何事もなく病院に到着し、診察してもらう事にした。
前回は肛門の激痛と、その痛みから解放されたい一心でそこまで感じなかったが、今回はいたって冷静である。
そのためか診察の際に医師に肛門を見せるという行為に対して恥ずかしさがこみ上げてくる。
しかしズボンを下さなければ診察はできない…
ためらいながらも決意を固めて医師に言われるがままにズボンをおろしてベッドに横たわった(/ω\)
そして触診…
前回は痛すぎて言葉にならない悲鳴を上げたところだ。
私は甦る激痛の記憶に体が硬直し、触診が早く終わる事を祈るように目をつぶった。
しかし今回は不快ではあるものの、そこまで痛みを感じるものではなかった。
やはり症状が軽い状態であればそこまで激痛に襲われることはなかったのだ。
そして医師の診断によると…
医師「これと言って何もないですね〜」
(ッッ!?何!?何もないだと…)
確かに感じる違和感とは裏腹に医師からは特段悪い箇所が見受けられないと告げられた。
医師「しばらく様子を見て変化があるようならまた来てください」
医師はそう言うと、特に治療や薬の処方をすることなく診察が終了した。
早期治療を行う事で前回のような激痛を回避し、尚且つ早期回復をするという私の目論見は打ち崩されたのだった。
そう…私は病院へ来るのが早すぎたのだ…
おおよそ2週間、私は肛門の違和感を覚えながらも普段の生活を送っていた。
確かにその肛門の違和感は気にはなるものの、普段の生活に支障をきたすような症状ではない。
そしてその違和感も常にあるわけではなく、無症状な時期と違和感を覚える時期が交互に押し寄せている感じだった。
傾向としては午前中には無症状で午後に違和感を覚えることが多かった。
私はその違和感との生活に馴れ、その違和感とうまく共存していてこれ以上の悪化はないのではないかと思い始めていた。
だがしかし、肛門周囲膿瘍の黒い影は着実にその魔の手を伸ばしてきていた。
ある日、肛門周辺にいつもと違った違和感を覚えたのであった。
肛門から横に5mm程ずれたところに小さな膨らみができていたのだ。
私は恐る恐るそのふくらみに触れてみたが、多少押してもそこまでの痛みは感じない。
前回は外部には変化がなかったこと、また痛みがそこまでではない事から、もしかしたら何かできただけで肛門周囲膿瘍ではないのかもしれないと私は思った。
しかしその膨らみは日に日に成長していった。
おおよそ5日程で1円玉ほどの膨らみになり、その後太ももの方へと進行を開始したのであった。
最終的には横幅が約1.5cm長さ3cmほどにまで成長した。
当然ながら大きくなるにつれて痛みも増していった。
その膨らみは、最初柔らかいものであったが、日に日に固くなっていき、最終的にはかなりの硬さになり、肛門周辺に異物を埋め込まれたようになった。
これは最初に膨らみを感じてからおおよそ2週間での経過である。
前述の通り、フライング気味に病院へと向かっているのだから、この間に病院に行かなかったかという疑問を持つこととなるが、その間に病院には行っていない。
なぜならば…
お盆だったからだ。
正確に言えばお盆前には仕事が忙しく、病院に行く余裕がないままお盆休みに突入してしまったのである。
その上お盆明けに病院へ行くと休診日となっており受診することができなかった。
病院へ行った際に「休診日」という札が貼られていた時に感じた絶望感は形容しがたいものがあった。
その翌日、電話で確認すると病院は営業していたためすぐに車を走らせた。
そして医師の診断は…
医師「うーん…切る程じゃないから…薬飲んで様子を見ましょう!」
医師を疑うわけではないが、私は肛門周囲にできた膨らみが固くなっていることが気になっており、そのことについて質問をした。
私「あの〜なんかケツのできものめっちゃ固いんすけど…これって大丈夫なんすか?」
医師「うーん、大丈夫、大丈夫!」
医師は私の言葉をあしらうように軽く返事をした。
少々疑問は残るが、医師が大丈夫だと言うならその言葉を信じて様子を見ることにした。
その後処方された1週間分の飲み薬をもらい帰宅し、処方された薬を飲みつつ1週間が経過した。
薬が効いているせいか痛みはそこまでひどくはなくなったものの、腫れた部分は特に変化が見られない。心なしか大きさには変化がないが硬さがより増した気がした。
痛みも生活に支障が出る程ではないのだが、やはり硬い腫れが気になったため、再び病院へと赴いた。
受診の際に症状と硬さが気になっている事を伝えると…
医師「硬くなるのはよくなってるってことだから気にしなくても大丈夫!このまま治っていくと思うから、痛くなったらまた来てよ」
…という回答であった。
そしてまた1週間分の薬を処方され診察が終わった。
その後特にひどい痛みに見舞われることなく2か月が経過した。
しかし肛門の横にできた硬いしこりのようなものは未だに消えずにその存在を主張し続けている。
しかしながら2か月前に比べれば確実に小さくなってきてはいる。このまま消える事を期待しながら日々の生活を送っている。
痛みに関しては、このしこり自体からの痛みはほとんどない。
しかしながらこのしこりはかなり硬く成長しており、座った際にそのしこり部分が押されると、その周囲の組織が圧迫されて痛みを感じることがある。
そのため座る際には、しこりに気を使いながら座らなければならないという業を背負っている。その業から1日でも早く解放されるよう、今日も肛門の横にできたしこりに気を使いながら生活するのであった。
今回の肛門周囲膿瘍と前回の肛門周囲膿瘍では同じ肛門周囲膿瘍と診断されつつも相違点が多かった。
そのため今回は肛門周囲膿瘍ではないかもしれないという淡い期待を抱くことにもつながったしまった。
発熱について
前回は38〜39度ほどの熱が出たが、今回は発熱を伴う事はなかった。
前回よりも症状が軽かったせいなのか、表層部分での膿瘍だったためなのかは定かではない。
痛みについて
前回は運転もままならないほどの痛みに見舞われたが今回はそこまでの痛みを感じることはなく、触診の際にも悲鳴を上げるような醜態をさらすことはなかった。
膿瘍の場所
前回は肛門の奥の方に膿瘍ができており、直腸に近い場所だったと思われる。しかし今回はしこりが皮膚の上から触れる箇所にできていた。
膿瘍の大きさ
前回の膿瘍の大きさは触っていないため定かではないが、今回は大きい様に感じた。
なかなか1円玉クラスの大きさの腫れができるという経験がなかったためにかなり動揺した。
膿瘍の末路
前回の膿瘍は内部で破裂したものと思われる。
その証拠にしばらくは膿瘍の中の膿が肛門より排出されていた。しかし今回は特に破裂することなく硬くなり、しこりとなって残っている。
上記の内容をまとめるとこのようになる。
前回 | 今回 | |
発熱 | あり | なし |
痛み | 激痛 | なんとか我慢できる |
膿瘍の場所 | 深層部 | 表層 |
膿瘍大きさ | 不明 | そこそこ大きい |
膿瘍の末路 | 内部破裂 | 硬いしこりとして残る |
これは最後に病院へ行った際に処方箋をもらって薬局に行った出来事なのだが、私は薬剤師の「今日はどうされましたか?」という質問には疑念を抱いている。
もちろん薬剤師に方にはそれ相応の事情があることは察してはいるものの「今日はどうされましたか?」という質問はこれで3度目になる。
1回目:病院受付
2回目:医師
3回目:薬剤師
さすがに3回目ともなると少々面倒になってくる。
そして私の経験上、薬剤師の「今日はどうされましたか?」という質問に対して回答すると…
かなり素っ気ない…
私の印象としては「ふーん…」というような感じのリアクションである。
特に今回は「どうされましたか?」と聞かれて、恥ずかしくてあまり答えたくない内容だ。
できる事であれば処方箋の記載内容の中に「今日はどうされましたか?」の回答を記載する欄を作成してほしいと切に願いながら薬局の窓口に向かい受付をすると…
薬剤師「今日はどうされましたか?」
(やはりこの質問が来たか…)
待合室には他の客もいるのでこの質問をかわすことも考えたが、恥ずかしい事というのは長くなれば長くなるだけ言い出しづらくなるものである。下手を打って長期戦になるよりも多少恥を忍んで短期決戦が望ましい…
『肉を切らせて骨を断つ!』
そう自分に言い聞かせながら…
私「肛門の横にできものができました」
薬剤師「そうですか〜」
難なく薬剤師とのやり取りに終止符を打てたと思った矢先に思わぬ伏兵の襲撃を受けた。
子ども「おかあさん、こーもんってなあに?(大声)」
待合室にいた子供が私と薬剤師のやり取りを聞いていたらしく、疑問に思ったことを母に尋ねたのであった。
その後薬剤師とのやり取りを終えて待合室の椅子に腰を下ろしたが、その母と子供の「こーもん」の話は続いている…
母親は気を使って小声でやり取りをしているが、子供はそういった気遣いはできない。
そのためかなり大きい声で「こーもん」という単語を何度も発している。
そう…子供の「こーもん」への執着は留まることを知らず、この親子の会計が終わるまで続くこととなった。
周囲にいる人はその子供の姿を見てニヤニヤしている。
頭では周囲の人間がニヤニヤしているのは子供の行動自体に微笑ましさを感じての事だというのは理解している。
しかし周囲のニヤニヤした表情はすべて私に向けられているという気持ちになった。
肉を切らせて骨を断ち、短期決戦で挑んだはずだが…
思わぬ伏兵に戦況は長期化し、肉を切られて魂を折られた結果となってしまった。
私は「恥ずかしさ」が極まる感覚を覚えるのであった。