初めて一人暮らしをしたアパートのは安さで選んだのでかなり古い感じのアパートで、当然ながら男性しか住んでいませんでした。
そんな中、その古いアパートでの生活を通じて同じアパートの住人と挨拶をかわすようになり、そのうち一緒に飲みに行ったり、バイトを紹介してくれたりなどのやり取りをするようになりました。
今思えばなかなかキャラが濃い方が集まるアパートだったようで、フリーターに近い大学生や、ほぼ無職のおじさんなど様々でした。
その仲良くなった方の中にスタジオミュージシャンの方がいまして、そのスタジオミュージシャンの方の疲れが溜まった時の癒し法の一つに「王様の風呂」という方法がありました。
「王様の風呂」と聞くと、ものすごい豪華で広いお風呂を想像してしまうかもしれませんが、家賃4万円のアパートについているユニットバスで行うもの…
「王様の風呂」というのは完全なる名ばかりの存在ですので過度に期待はしないでください(笑)
当時私は接客業をしていて、立仕事のせいか腰痛に悩まされてました。
そんなある日にお店に来た常連のお客さんに、「湯船に入るとよくなるよ」と言われました。
狭いユニットバスながら湯船につかって腰痛を何とかしようかと悩んでいたところ、そのスタジオミュージシャンの方が…
「どうせやるなら『王様の風呂』やな!!」
※このスタジオミュージシャンの方は関西出身です。
え…
王様の風呂??
何それ…そういう名前の銭湯?
それとも何か…いかがわしいお店ですか??(笑)
まさかアパートのせまいユニットバスで王様の風呂の連想が全くできなかった私は、てっきりお店かなにかと思います。
そう思った私は…
「すみません…お金ないんでいけないです(笑)」
…と銭湯でもいかがわしいお店でもどちらでも対応できる回答を用意しましたが、軽く否定されます。
「いや…自分とこの風呂ですんねん!!」
????
あの狭いユニットバスで王様の風呂?
想像できませんでした。
話を聞いたところ、やり方自体はそんなに難しくありません。
というかシンプルというか…難しいことは一切なく至って簡単です(笑)
要点はたったの2つ
以上です(笑)
え…これだけ?
これだけで「王様の風呂」と呼べる代物になるの??
正直そう思いました。
ただこの「王様の風呂」をするには下準備と心構えが必要です。
この2目の「後先の事を考えない」というのは、ユニットバス内の何処が濡れてもきにしないようにするという事です。
スタジオミュージシャンの方が言うには、住んでいるアパートは水道代という概念がないので、(いくら使っても家賃に含まれていているので、使用料で水道代は変わらない)水をいくら使ってもいいから経済的に負担が少ないとのこと。
というわけで実際にやってみました。
まずはトイレットペーパーと便座カバーを外してユニットバス内から非難させます。
あとはタバコが吸えるようにする準備も完璧です。
そして湯船もたまりました。
いざ実践!!
煙草を吸う兼ね合い上片手だけは濡らさぬよう湯船に入ります。
あふれるお湯!
一気に排水溝に押し寄せていきます。
そして蛇口からもお湯が出続けていますので、排水溝は大忙し(笑)
私の「王様の風呂」をやった率直な感想は…
あ…悪くないかも?
まずはお湯を出しっぱなしにすることですが、住んでいたアパートの浴槽は普通に入った場合、浴槽がかなり小さいためにお湯がすぐにぬるくなる。
お湯を出しっぱなしにすることでその温度変化を少なくすることができます。
また銭湯ではお湯が出続ける銭湯も多いと思います。
このお湯を出しっぱなしにする行為はその気分を少し味わえるという。
気構えの点で「思いっきり入る」という事ですが、ユニットバスを使用している方ならわかると思いますが、トイレ部分を濡らさないようにするのが一般的な使用方法だと思います。
そこをあえて一切気を使うことなく入る…
この解放感は半端なかったです(笑)
その解放感が最大のメリットなのかもしれません。
お風呂に入りながら煙草を吸うことに関しては、普段行わない事をあえて行うことで、日常から非日常感を出す演出になっていると思います。
ここは煙草ではなくとも「飲み物」でもいいのかもしれませんが…
ただし置く場所はトイレの上…飲み物はちょっと抵抗があるのかもしれません。
というわけでちょっと楽しくなってしまった私は頻繁にこの「王様の風呂」を行うようになりました。
そして次の月…
ガス代の請求書を見て唖然とします…
い…
いつもの3倍じゃーねーかッッッ!!
そう、水はいくら使っても定額ですが、お湯を出すためのガス代は別です…
この件について教えてくれたスタジオミュージシャンの方にお話を伺ったところ…
「ガス代??そういえばガス代も電気代も請求こねーな」
え…
どういうこと?
後日知ったのですが、スタジオミュージシャンの方とお付き合いしていた女性が家に来るたびに郵便ポストを整理して(スタジオミュージシャンの人は郵便ポストをほとんど見ないw)光熱費の請求書が来ていたら払っていたそうです。
当然本人に確認してから開封して払っていたそうですが、その話自体スタジオミュージシャンの方は忘れていたというね(笑)
でもこの女性…神レベルの彼女様ですね。
ちなみにこの「王様の風呂」、ご想像通りトイレがびしょ濡れになります。
まあ時間が経過すれば乾燥するのですが…
一か所乾かないところが…
それは便座の上です。
王様の風呂をするときに便座のふたを閉めて行うので、そのまま便座のふたを閉めておくと座る部分の水分は乾燥せずに残ってしまいます。
ちなみにスタジオミュージシャンの彼女さんはこの便座に座ってしまい、それが原因で大喧嘩をしたことがあるそうです(笑)
王様の風呂…その後の私
結局ガス料金が高くなってしまうというのが、貧乏だった私には厳しかったので、自宅での「王様の風呂」は封印することとなりました。
そして湯船につかるという腰痛対策もあきらめる事に…
ですがあの感覚は何とも言えない部分があり、今でも思い出してしまうことがあります。
仕事等でホテルに宿泊したとき…
その宿泊施設ができそうな環境にあれば、この「王様の風呂」をこっそりやっているのは言うまでもないですね(笑)